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楽しい構造検討

  • dvas9900
  • 41 分前
  • 読了時間: 4分

アンプの設計をしているときに、一番楽しいのは何の工程か?


アンプの開発には様々な工程があります。回路を設計し、それを検証。そこから回路図の作製、基板設計を行いそれらを格納するシャーシの設計をします。ここまでがいわゆる設計の工程です。そこから、設計が完了した各パーツを強力会社に発注し、パーツが完成後組み上げるのが製造の工程ということになります。自分が設計したパーツを組み上げる製造の工程ももちろん楽しいのですが、醍醐味はやはり設計工程、それもシャーシの構造設計&デザインに極まると、私は思っています。


アンプの音質を決定するのは回路、部品、構造であり、そのどれもが等質に重要です。しかし、アンプの価値を如実に表現するのはやはり構造ではなかろうか?と考えています。構造はいわゆる外観デザインそのもので、皆さんの目に直接見えるアンプの顔そのものです。もちろん、その内側にも重要な意味があり、信号経路や基板の配置、トランスやスイッチなどの配置等々、様々な要素を同時に考慮しながら設計していく必要があります。空間認識力が試される工程でもあります(笑)


外観が美しく使いやすいことはアンプにとって最も重要なことかもしれませんが、私は内部にも美しさと合理性を求めて設計しています。外観だけではない内面の美しさがアンプの価値を決める重要なファクターと考えるからです。


そんな部分にまでこだわった設計ができるのはひとえに3D-CADのおかげです。パソコンで安価に運用できる3D-CADの存在がなければ私がDVASを起業することはなかったと断言できます。

私は自慢ではないですが2Dの製図ができません。どこの寸法をどのように記載すれば良いのか、その知識がないのです。


そんな人間でも3D-CADを使った機構設計は容易に習得することができました。なにより、出来上がった3D-CADデータを協力会社に送れば、1カ月後には図面どおりのシャーシが出来上がってくるのです。こんなにありがたいことはありません。


下図はModel3のアンプ部の3D-CADによる構造図です。こんな複雑な構造、とてもじゃないけど2D製図なんて不可能です(笑)

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かつてメーカーに在籍していたころは、試作を行い機構と基板やパーツとの干渉がないか、組み立て性はどうかなどを検討する構造確認会というイベントを実施していました。それぞれの分野の担当者が集まり試作品を組み立てながら課題を抽出していくのですが、いろいろと不具合がみつかるわけです。


しかし、3D-CADで設計していると、現実には目視出来ない部分のクリアランスなども断面を観察することで容易に把握することができます。試作を含めるとすでにかなりの数の設計をしてきましたが、出来上がったあとでパーツの配置ができなかったとか、パーツが干渉してダメだったというようなことは一度もありません。じっくりと時間をかけて構造検討を3D-CAD上で実施することで、高価なシャーシの試作で失敗することが回避できるわけです。


DVASのアンプには適度な大きさというものを定めています。端的にいうと重量です。フォノイコ、プリアンプ、パワーアンプどのアンプであっても20kgを越えることのないようにしています。Model2Bは19kgなのでギリギリですね。


これは単純に一人でハンドリングできる上限と考えいるからです。若いころなら30kgでも40kgでも容易に取り回しができましたが、年齢とともに体力は衰えます。一人でアンプを組み立てることを考えると20kgを越えるようなアンプはちょっと無理なわけです。


アルミブロックからの削り出しパーツで構成し重量を20kg以内にするとなると、Model1BやModel2Bのサイズが限界で、これよりも体積の大きなアンプはつくれません。


ですから、その体積の制限の中でアンプを設計するわけです。ある限られた範囲で美しく、使いやすい、さらに音質も優れたアンプを実現する。常にそのことを念頭において設計しています。その制約を守るために、時には一度設計した基板をサイズ変更したり、場合によっては完全に再設計することもあります。


かつて偉大なアンプビルダーであった上杉先生が美しさとは制約の中に存在するという趣旨の発言をされていました。


非常に感銘を受けた考え方であり、DVASの作品もそのようにありたいと考えています。



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