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Model2Bのノイズレベル

  • dvas9900
  • 4月28日
  • 読了時間: 3分

静特性と音質との相関に関しては、意味があると言ういう人もいれば、それほど大きな相関はないという人もいて、いつまでたっても決着はつきそうにありません。


ただ、私は音質が良いことを前提に静特性は良いに越したことはないと思っています。一方で静特性を良くするために聴感性能が落ちるのは問題外であり、例え静特性が悪くなったとしても聴感性能を優先すべきとも思っています。


Model2B(Model2もそうですが)がオーバーオール無帰還方式のアンプ回路を採用しているのもそのためです。電流出力段から入力に帰還をかければ性能、特に歪率は一桁は改善できるでしょう。ダンピングファクタ―など2桁以上改善すると思います。しかし、音は良くなったとは感じませんでした。そういう歪や周波数特性という、優れていることが必ずしも良い音につながるとは限らない静特性に比して、ノイズだけは少ない方が絶対に良いと思っています。特にスピーカが耳元にあるヘッドホンアンプならなおさらです。


ノイズ性能というとSN比として表現されることが一般的ですが、実はより重要なのは最低ノイズレベル、つまり残留ノイズレベルです。SN比は信号とノイズの差分ですから例えば残留ノイズが多少大きくても信号でデカい、つまり大出力のアンプであれば数値上はSN比を良くすることができます。

だから同じSN比のアンプであっても、最大出力が異なれば残留ノイズのレベルも異なるということです。残留ノイズは残留というくらいですから、電源が投入されアンプがアクティブ状態であるかぎり必ず存在するノイズです。画質でいうところの最低黒輝度みたいなものです。SN比は測定条件によって大きく異なるため、アンプの本当の静寂性を判断するには残留ノイズで比較すべきと私は思っています。SN比で残留ノイズを見極めるには例えば1W出力時のSN比同士で比較するとわかりやすいと思います。


その残留ノイズですが、Model2ではAウェイト時に15μV以下でした。工業製品ですので、バラつきはあるものの、これが上限で実際はこの数値よりは10~20%ほど低い値です。信号レベルを1W(5.7V@32Ω)とすればSN比は約112dBとなります。極限のローノイズとは申しませんが、ヘッドホンリスニングにおいても、多くのヘッドホンと組み合わせてノイズが問題になるようなものではないと自負しております。

Model2の電圧増幅段のゲインは完全差動アンプのみで約13dBを得ています。対してModel2Bでは完全差動アンプ段のゲインを0dBとして、アンプ全体のゲインは前段の正負信号系に入っているアンプで稼いでいます。

普通に考えればアンプが一段増えるわけですから、ノイズは増えそうなものですが、Model2Bでは逆にノイズレベルが低下する結果となりました。具体的には最大10uVであり、Model2に比して残留ノイズレベルで3dB以上低い値になりました。これはつまり1Wを基準信号レベルとした場合のSN比がModel2に比して3dBあがったことを意味します。具体的にはSN比112dB→115dBに改善できました。


ノイズレベルの大きな状態での3dBの改善は、それほど大きな意味はないかもしれませんが、110dB以下の領域での3dBの性能改善は簡単なことではなく、その意味でもModel2Bの新しいアンプ回路は非常に良く出来たと考えています。

ちなみに、THD+Nについても6dBほど改善しており、実測値でModel2が0.15%以下であるのに対してModel2Bでは0.08%以下に低下しています。仕様としてはマージンをもって表現しますのでスペック従来の0.3%から0.15%に変更しました。

まあ、どちらの数値にしても「どうだ!低歪だろ!!」と自慢できるような数字ではないのですが。。。これは完全差動アンプ段の帰還回路の低インピーダンス化が功を奏したと考えています。


Model2からModel2Bにバージョンアップしていただくことで、音質が良くなったというイメージ的な話とは別にハッキリとノイズレベルが改善するというメリットも享受いただくことができます。


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