前回、出力に関するお話をさせていただきましたが、今回は入力のお話です。
Model2の入力を受ける回路は完全差動アンプとなっており、これにはたすき掛けと言われるNFBのかけ方をしています。つまりプラスの入力にはマイナスの出力を戻し、マイナスの入力にはプラスの出力を戻します。
シングルのアンプでいうと反転増幅回路を組み合わせたような動作となります。
反転増幅回路はアンプの入力に抵抗がシリーズに入り、出力から抵抗を介して入力端子にNFBがかかります。
入力の抵抗をRi、NFBの抵抗をRnとすると回路の増幅率はーRn/Riとなります。ーは反転の意味です。
反転増幅回路のマイナス端子はイマジナリーショート状態、つまり仮想的にGNDとなり、ここには信号電圧は発生しません。するとアンプ全体としてみたときの入力インピーダンスは一義的に抵抗Riの値で決まります。
左の写真はオーディオレジェンドのメモ書き風に手書きでアップしてみました(笑)
ボールペンじゃなくて万年筆の方がカッコ良かった。。。
広帯域増幅をするためにはRiやRnの値は低い方が好ましく、しかし、あまり低くするとプリアンプにとって重い負荷となり、結果、適合できるプリを選ぶという、パワーアンプとしては使いにくいアンプになってしまいます。市販されている一般的なパワーアンプの多くは10kΩから100kΩ程度に入力インピーダンスが分散しており、トランジスタ式のプリアンプであれば、組み合わせで問題になるようなことはありません。プリの出力インピーダンスが1kΩ程度までなら、入力インピーダンスが10KΩのパワーアンプと組み合わせても信号レベルの低下はわずかですので、事実上問題にはならないでしょう。
そういった背景を踏まえてModel2の入力インピーダンスは10kΩと定めました。
この程度の入力インピーダンスであれば、多くのプリアンプと組み合わせて支障なくお使いいただくことができると思います。
もちろん、これは単に信号伝送はできますよという話であり、質的な意味ではありません。どんなパワーアンプでもそうですが、プリアンプによって総合的な音色は大きく変わりますので、やはりユーザーである皆様の趣向を反映したプリアンプと組み合わせていただきたいと思います。
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