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DVAS Model3 発表しました

  • dvas9900
  • 6月15日
  • 読了時間: 5分

Model2発売後、開発を続けてきたラインプリアンプModel3を6/10にようやく発表しました。


開発に1年半以上費やしたこととなります。


やってみてつくづく思ったのはプリアンプは難しいということです。


パワーアンプが簡単、ということではもちろんないのですが、音楽演奏のたびにオーナーが直接触れて、操作するという点で、「スピーカの相方」的立場のパワーアンプとはやはり立ち位置が違います。最近、あまり聞かなくなった言葉ですがプリアンプは別名コントロールアンプとも呼ばれます。私などはプリアンプとあっさり言うよりも、日ごろの接し方、自分の装置での役割を考えたときにコントロールアンプと言った方がやはりしっくりきます。そういえば、有名なマランツ#7はステレオコンソールと名付けていましたね。言いえて妙です。


そんなModel3ですが、アンプ回路も開発当初から何度か変遷をしてきました。最終的にたどり着いたのはインスツルメンテーションアンプです。完全差動アンプという言い方をどうしても入れたかったので、インスツルメンテーションアンプ構成完全差動アンプというダラダラした名称にしましたが、通常は完全差動アンプを含めてインスツルメンテーションアンプ(以降日本語で計装アンプと呼称)です。Model2Bの発売のほうが先行してしまいましたが、計装アンプはModel3のために開発した回路なんです。極端にいえばModel3のアンプの出力にダーリントンPPエミッタフォロワを追加したのがModel2Bということになります。


なぜ、計装アンプを採用したのかというと、シャント型抵抗アッテネータをどうしても使いたかったというのが大きな理由です。


シャント型抵抗アッテネータは信号経路にまずは固定抵抗を挿入します。ソース機器の正負アンプの負荷バランスを一定に保つには、正負入力の双方にシリーズ抵抗を挿入する必要があります。この抵抗は出来るだけ小さい値が好ましく、しかし、ソース機器の負荷ともなるため、やたらと小さくすることはできません。同じような話をModel2のときに書いたと思いますが、まあ、10kΩくらいが下限かと。


このシリーズ抵抗の出力をアッテネータで終端してやるわけですが、挿入損失を事実上問題ないレベルにするにはアンプの入力インピーダンスは可能な限り高くしなければなりません。少なくともシリーズ抵抗の10倍、出来れば100倍欲しいところです。完全差動アンプだけでこのような高入力インピーダンスを実現するのは、あまり現実的ではありません。高入力インピーダンスを実現しながら完全差動アンプの特質を有する回路となると計装アンプしか考え付きませんでした。


このアンプには完全差動アンプにはないもう一つのメリットがあります。それは正負バランスをくずすことなく、アンプのゲインを一個の抵抗で決定できることです。

Model3は組み合わせる機器、スピーカの能率、はてはヘッドホンとの組み合わせ等々を考慮し、47ステップのアッテネータ以外にアンプゲインを20dB、10dB、0dBに切り替える機能を装備しました。これを実現するのに一個の抵抗を切り替えるだけで良い計装アンプは、まことに都合がよろしいわけです。


Model3では計装アンプの初段にFET入力のデバイスを使っていますので、アンプの入力インピーダンスは1MΩとして、シリーズ抵抗の200倍のインピーダンスで受けています。


ところで音質上、シャント型抵抗アッテネータの品位はもちろん重要ですが、このシリーズ抵抗の品位も極めて重要です。Model3では抵抗の中でも最高の精度と安定性を誇る金属箔抵抗を採用しています。Model1BではIV変換部分に金属箔抵抗を使っており、これはVisheyのネイキッドタイプです。Model3ではちょっとした理由があり国産のモールドタイプを使っています。


計装アンプによる高インピーダンス入力を実現することで、シャント型抵抗アッテネータのステップ誤差を抑え、ほぼ計算どおりの減衰量を実現することができました。この精度は回路的な面はもちろん、素材の精度にも依存します。つまりはアッテネータ用の抵抗です。多くの抵抗を検討しましたが、最終的に北米のPrecision Register Products、いわゆるPRP社のPR9372型抵抗に決めました。最大の理由は赤くてカッコ良いから、です。冗談ではなくホントにそうなのです。PR9372はマニア間では有名な抵抗ですが、日本の販売店でE96系列、ましてや0.1%品の在庫などありません。日本どころか世界的にも販売店でこの仕様のものを在庫しているお店は存在しないと思います。

となるとPRP社に特注して、E96系列、0.1%級のPR9372を入手するしかありません。クラクラする価格だったのは以前、ブログに書いた通りです。


ELMAのロータリースイッチに出会えたのもModel3にとって僥倖でした。当初考えていた23接点タイプでは、到底、今の操作感、音量調整幅は実現できませんでした。仮にそのままリリースしていたら、これが200万円のアンプの音量調整フィーリングか!?とお𠮟りを受けたことでしょう。


Model3は入力セレクターの後、シャント型抵抗アッテネータ(シリーズ抵抗含む)で信号を受けます。シャント型は減衰量により、インピーダンスが変化しますので、Model3の入力インピーダンスは10kΩ(減衰量MAX)~2MΩ(減衰量約ゼロ)まで変化します。通常のボリューム受けプリアンプのように定インピーダンス負荷ではありませんが、最低10kですからソース機器からみたインピーダンスは決して低くはないと思います。


こんないきおいでModel3のことを書いていると、いくらでも書けてしまうので、また、機会を設けて続きをお話したいと思います。


なんにしても、この一年半の想いの全てをつぎ込んで完成させたプリアンプ、それがModel3です。


今後、専門店展示や展示会への出品、さらにご希望があれば自宅試聴などにも対応いたしますので、多くオーディオマニア(あえてオーディオマニアと言わせていただきます)に実際に見て、触れて、そして聴いていただきたいと思います。





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