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  • dvas9900

筐体はどうあるべきか?

更新日:2022年12月7日

Model1の筐体は切削加工された7ピースのアルミ材でできています。


筐体の考え方はメーカーごとに哲学があり、それがそのままメーカーの音色になって表れていると思います。可能な限り剛性をあげて頑丈な筐体を実現するメーカーもあれば、比較的薄い鋼材、あるいはアルミ材などで鳴きを無理に抑えない筐体まで多種多様です。


アンプも振動の影響をうけて音が変化しますので、外部からの振動や、アンプ内部で発生する振動に対して、どのようなケアをするのか?アンプを製品としてまとめるうえで、このことはとても重要です。


Model1は厚みのある素材を組み合わせ、ステンレス製のビスで強固に組み上げています。積極的に筐体を鳴かす設計ではなく、厚みのあるアルミ材を使用し質量の確保と剛性をあげ、出来るだけ頑丈なシャーシであることを目指しています。


Model1のトランスや電源回路は天板に固定され、その質量を左右のアルミブロックで保持し、底面に設けたステンレス製インシュレータで設置する、いわゆる天吊り構造を採用しました。そのため、天板の厚みは10mmあり、そこにタップを切りM3の真鍮スタッドで基板を支え、50VAのトランスはM6のスチールボルトで直接天板に固定しています。


多くの製品が底板にすべてのパーツを載せて、上から蓋をかぶせる構造になっていると思いますが、Model1は逆です。これも、機能試作機での検討の段階で、いろいろと試した結果、トランスを取り付けた面を上面とした方が、好ましい音質であったことが理由です。蓋は無い方が好ましい音質であったため、密閉構造化するのを出来るだけ避けました。そのため蓋となる底板は厚さ3mmのアルミ製として、かつ、可能な限り開口を大きくとった設計になっています。開口部にはステンレス製のメッシュをかぶせてありますが、この部分の開口率は65%以上あります。アンプ全体の質量は左右のアルミブロックを底板に固定したインシュレータで支える構造になっています。


Model1のシャーシの肝は分厚いアルミブロックから削り出した左右の放熱器状のパーツです。このパーツはいかにも放熱器のような形状をしていますが、これは単にデザイン的な仕様であって、放熱器としての役目は全く担っていません。そもそも、Model1の定常消費電力は10W以下ですので、ほとんど筐体は熱くなりませんから、放熱構造そのものが不要なのです。ただ、このような形状であれば、これを放熱器として活用した製品も実現できますので、将来のための布石ともいえます。


フロントパネルは二重構造になっており、表面のパネルの厚みは10mmあります。これでも存分に分厚いのですが、さらに構造材となっている内側のサブパネルは13㎜の厚みがあり、組み合わせた合計の厚みは23mmにもなります。

サブパネルはもともと、抜きを多くとった厚み3mmのアルミチャンネル形状のもので考えていましたが、13mmのアルミブロックから削り出すことに変わりはなく、変な話、アルミチャンネル形状にした方が加工時間が長くなるため、コストが高いという結果になってしまいました。それなら、何も薄くする必要はありませんので、13mmという厚さをキープした形状としました。


アンプ基板はトランスや電源回路とは異なる面、つまりリアパネルに固定しています。リアパネルはフロントパネルと異なり、構造材になっていますので、ここは13mmのアルミ材を使っています。電源との接続は柔軟性の高い線材を使い、基板へのストレスを低減しています。アンプ基板の固定方法はリジッドにリアパネルに固定しています。ここはフローティング構造をとった製品もたくさんあり、marantzのModel7などはその先駆けと言えるでしょう。現代でも筐体の振動をアンプに伝えないように配慮した製品はいくつかあります。Model1はそれらとは違い、リジットに固定する方法を選びました。十分な厚みのある構造材を前提とした選択になります。


Model1でこだわったのは材質と構造だけではありません。何よりもそのサイズに一番のこだわりがあります。


私もこれまで多くのオーディオ機器を愛用し、また友人たちの家で数多くの名器と言われる製品たちに触れてきました。そこで思ったのはラックに格納した場合のおさまりの良さが重要だということです。


フロントパネルのサイズはいくつかの例外はあると思いますが、多くの機器が430mm前後であり、一部、ラックマウントを意識したデザインのものは480mm前後となっています。これまでハンドリングしてきた多くの機器を通して感じたのは、奇異なる寸法の製品はデザイン的に浮くということです。もちろん、同一のサイズの製品で全てのコンポーネントをまとめれば話は別で、ナグラの製品などは重ねておいても惚れ惚れするほどカッコ良いですよね。とはいえ、Model1は標準的なサイズの製品と組み合わせて設置された場合に、違和感のないよう横幅は最初から430mmと決めていました。

アンプのフロントパネルの縦横比には落ち着いて見えるバランスがあると思っており、フォノアンプであるModel1の場合、だいたい1:5くらいがちょうど良いのではないかと思っています。当然、内臓する回路によっても高さは変わってきます。内臓するトランス、整流コンデンサのサイズやリアパネルの各コネクタのサイズと配置、電源スイッチのサイズと銘版部分の寸法、さらにリアパネルに固定するアンプ基板のおさまり具合等々、3DCADを使って検討していった結果、Model1のパネル高さは91mmというサイズになりました。


また、奥行きの寸法も重要です。


比較的小型のラックの場合、奥行きは450ミリ、大型の場合でも600mm程度でしょう。ラックの裏にまわって楽に配線ができるような、理想的な環境をお持ちの方は別にして、壁に寄せる配置をした場合、あまり広いとは言えないラックの裏側に手をまわしてアンプを接続するのは大変です。奥行きが短かければ下手をするとラックから機器の足が外れるし、さりとて深すぎればケーブルとラックの後ろの壁が接触してストレスをかけたりと、あまり精神衛生上よくない事態に陥ります。そういう実際にラックに収めた際の配線のしやすさやストレスの低減にも配慮し、Model1は奥行きを330mmとしました。このサイズならば奥行き450mmのラックに格納しても、ケーブル類に強いストレスをかけることなく接続することができ、インシュレータがラックからはみ出すようなこともありません。ラックの天板上に配置して、全体が見えるようにセッティングしても、幅と奥行きのバランスの良いサイズになっていると自画自賛しています。


内寸を含めると幅60mmもあるサイドブロックや分厚いフロントパネル、リアパネル、天板などの影響で、パーツを格納できる内寸はW310mm*H78mm*D291mmと外形から比べるとそれほど大きな容積はとれません。よって、アンプ設計の自由度は下がります。しかし、そういう限定された空間でいかに製品を作り上げるか?そこに工夫が生まれ、せめぎあいが生まれ、結果、合理的な美しさが生まれると思っています。


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